【Aを選択】
アタシはベッドの周りを調べた。
ネストリ
「そんなとこ調べてどうするの?」
ルディ
「ここはまだ調べてないだろ? 何か手がかりがあるかもしれない」
ネストリ
「寝るだけのとこじゃん」
まぁ確かに。
枕をめくっても、ベッド脇やベッド下の隙間を覗いても、埃以外何もない。
ルディ
「あとは、布団の中とか…!」
アタシはふかふかの布団を思いっきりめくった。
ルディ
「!?」
そこには…クマのぬいぐるみがあった。テディベアだ。
ネストリ
「アンジェリカのぬいぐるみ?」
ラルス
「人形を抱いて寝る趣味があるのか」
ルディ
「へぇ、意外というか、なんというか」
アタシは人形を持って調べる。
左足の裏に「TOM」と刺繍がしてある。
ルディ
「トム? 人形の名前かな?」
トム
「その通り!」
ルディ
「!!!?」
アタシは驚いて人形を放り投げた。
ラルスもネストリも身構える。
放り投げられた人形は、立ち上がって、アタシたちに爽やかな声で言った。
トム
「やあ、はじめまして。僕はテディベアのトム。よろしく」
ルディ
「に、人形が、喋った…!?」
トム
「僕は生きた人形だからね」
ラルス
「生きた人形…」
ネストリ
「なにそれ! おもしろーい!」
トム
「そうさ。面白いのさ」
爽やかにトムは笑う。
トム
「さて、さっきまでの話は聞かせてもらったよ。僕の持ち主のアンジェリカが死んだんだってね」
ルディ
「あ、うん…そうなんだよ」
トム
「君たちに伝えないといけないんだけど…僕は犯人に心当たりがある」
ルディ
「なんだって!?」
トム
「僕を厨房に連れて行ってくれ、証人になろう」
ルディ
「頼もしいぜ!」
だが、ラルスとネストリは怪訝な顔をしている。
ラルス
「信用していいのか? 生きた人形など、アルシデでは珍しくないが…」
ネストリ
「なんか裏がありそー」
ルディ
「えぇ? そうか…?」
アタシは悩んだ。
トムは犯人に心当たりがあるという。
でもネストリたちはトムを不審に思っている。
アタシは…