【Aを選択】
アタシはルースと一緒に行動することにした。
ルディ
「ルース、アタシも一緒に厨房を調べるよ!」
ルース
「お願いします」
ラルス、ネストリ、アレクシアは、それぞれの場所を調べに行った。
さて。
厨房には、アンジェリカの死体。
それ以外には調理器具が綺麗に整頓されて並べてある。
ルディ
「なぁ、調べるって言っても、どこから調べるんだ?」
ルース
「まずは、アンジェリカ様の死因を特定しましょう。死因が分かれば凶器が分かる。凶器が分かれば、そこから犯人を割り出せます」
アタシたちはアンジェリカを観察する。
だけどさっきルースが言った通り、目立った外傷が無い。
口から血を吐いているだけだ。
ルディ
「うーーん。口から血を吐いてるってことは…つまり死因はなんなんだ?」
ルース
「考えられることとしては、内臓破裂ですね。腹部に衝撃を受けて内臓が傷付いたのでしょう」
ルディ
「ってことは、犯人は素手でアンジェリカの腹を殴って殺したってことか?」
ルース
「そう考えることができますね…しかし、素手で内臓破裂を起こすほどの衝撃を与えるのであれば、複数回殴る必要があります」
ルディ
「じゃあ、犯人はアンジェリカを何回も腹パンしたってことか」
ルース
「…ですが、だとすれば」
ルースは悩む。
ルース
「厨房が綺麗すぎる」
ルディ
「え?」
ルース
「争った形跡が一切無いんですよ」
ルディ
「確かに…」
厨房は、アンジェリカが倒れていること以外何事もなかったかのように綺麗だ。
ルース
「というか、この厨房自体がおかしい」
ルディ
「え?」
ルース
「アンジェリカ様は料理を作って持ってくるとおっしゃっていた。なのに、どこにも料理が無い」
ルースは冷蔵庫を開ける。
中には、食材こそ入っているが、料理は無かった。
ルース
「コンロに火も付いていないし、調理器具も用意した痕跡がない」
ルディ
「犯人がわざわざ火を消すわけないか。調理器具も、片付けるわけないし…」
ルース
「つまり、ここから分かることは…アンジェリカ様は料理を作る前に殺された。そして、犯人はアンジェリカ様と面識のある人物」
ルディ
「面識があるって、なんで分かるんだ?」
ルース
「もし、見ず知らずの人間がいたら、ルディならどうしますか?」
ルディ
「え? 大声上げて逃げるかなぁ?」
ルース
「そうですね。少なくとも、腹を殴らせるくらい距離を縮める事はない」
ルディ
「相手が素早くって、取っ組み合いになったって可能性は?」
ルース
「だったらもっと厨房が荒らされていてもいいでしょう」
ルディ
「そっか。取っ組み合いにもなってないから、厨房は綺麗…」
だけど。
そうなると。
ルディ
「犯人の候補からアレクシアは外れるよな。席を外したタイミングはアンジェリカが厨房に行ってから結構経つし」
ルース
「そうですね」
ルディ
「じゃあ、犯人は…」
ルース
「ラルス様とネストリさんですね」
ルディ
「!」
ルース
「あの2人だったら、夢幻の神の魔法…あらゆるものの具現化の魔法で、アンジェリカ様の腹に重い打撃を与えることもできるでしょう」
ルースは断定する。
だけど。
待って、ルース。
ラルスやネストリよりも先に、手洗いって言って大広間から席を外した人物は…ルースだよな?
疑っている訳じゃないけど…
アタシの頬を冷や汗が伝う。
ルース
「ルディ? どうしました?」
ルディ
「え、あ、えーっとぉ〜…!」
アタシは言った。